ジェンダー平等のありようを数値化したジェンダー・ギャップ指数が世界125位という日本。「ジェンダー」という用語自体は決して新しいものではありませんが、どの時代から女性差別は始まり、どのような構造の中で差別は生まれているのかなど、歴史的・心理的な側面を深く掘り下げていきます。さらに話題の「トランスジェンダー」や「ノンバイナリー」とはどういう意味なのかを説明するとともに、ジェンダーが男らしさ/女らしさという二元論に集約されている現実こそが問題なのだと指摘しています。
著者 | メグ-ジョン・バーカー●文 ジュールズ・シール●絵 松丸さとみ●訳 |
ジャンル | マンガ |
出版年月日 | 2024年5月発売 |
ISBN | 784910962061 |
判型・ページ数 | A5判並製184頁 |
定価 | 本体1,600円+税 |
内容説明
第1章:さまざまな時代と場所におけるジェンダー
19世紀以降の資本主義が「男性の仕事は女性の仕事よりも経済的価値が高い」というジェンダー役割を成立させていく過程を説明しています。
第2章:性別/ジェンダーは人にどう作用するのか
性別とジェンダーとはどう違うのか。はっきりと切り分けることができるものなのか。幼少期の体験がジェンダー認識に影響するとともに、ジェンダー規範に縛られて身体的能力などが制限されている話などを紹介します。
第3章:変わる「男らしさ」
「感情を表に出さない」「競争的」「周囲に助けを求めない」という理想的な男性像がホモフォビアやミソジニーの上に成り立っており、それは「有害な男らしさ」として他人にも自分にも悪影響を及ぼす、と警告しています。
第4章:女性性とフェミニズム
女性を「その他」とする考えを提示したボーヴォワールから始めて、フェミニズム運動が、男性を規範とした社会にどのように立ち向かってきたかを歴史的に説明します。
第5章:ノンバイナリーについて
性別が2つしかないという従来の枠組みに異議を唱え、男女のどちらにも属さないという考え方を示した「ノンバイナリー」について説明しています。
第6章:トランスジェンダーについて
出生時の性別に違和感を持ち、異なる性を生きる(生きたいと望む)人たち「トランスジェンダー」について説明するとともに、トイレ利用へのバッシングなどが起こる背景を説明しています。
第7章:フィクションに見るジェンダーの未来
ジェンダーの力関係が今よりも悪化したり、性別の役割が逆転した世界を描いた小説や映画を取り上げています。
第8章:ジェンダーとは何だろうか?
「個人的な問題を一般化せず、政治的な問題を個人的な経験として矮小化しない」など、この問題に取り組む際の姿勢を述べています。
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